令和6年度 事業計画(案)

計画期間 令和6年3月1日から令和7年2月28日

1 現状認識

 厚生労働省による令和6年度障害福祉サービス報酬の改定を受け、生産活動収支が利用者に対して支払う賃金を下回るA型事業所においてB型への転換を進める動きが見られます。
 弊社では今年度決算において生産活動収支が利用者賃金を上回ってはいるものの、作業内容によっては時間当たり最低賃金を下回る場合もあり、目標とする生産性が確保できないケースも生じています。
 また、農産物を扱うという事業の特質により、必然的に季節の変化による収益のゆらぎが発生することも、経営上のリスクと言えます。
 弊社が継続的・安定的に企業として成長を続けるためには、何よりも他の事業者が有していない「強み」をさらに強化すること、そして新たな「強み」を獲得していくことが重要であると考えます。
 以上を踏まえ、令和6年度の事業計画を策定しました。

2 職員勤務体制等の充実・強化と利用者の安定雇用による持続的な経営の確立

  1. 利用者を安定的・継続的に雇用するためには、利用者に対する指導・支援体制の強化を図ることが重要です。そのためには職員自身のスキルアップはもとより、資質を備えた人材の確保が必要であり、このため、ハローワークにおける求人のみならず様々なネットワークを通じ、弊社業務にとって必要な人材の発掘・獲得に努めます。
  2. 繁忙期等においてパート職員を確保することで利用者に対する指導・支援業務のバックアップ体制づくりを図るとともに、従事経験を通じた資質向上を促し、職員としての雇用の可能性を広げます。
  3. 作業空間における照明や温湿度等の執務環境条件は、職員・利用者の双方にとって勤務意欲に、また農産物の品質保持や仕上げ品品質の確保、選別作業の正確性等、会社としての評価につながることから、作業場管理者等との交渉により改善に努めます。加えてトイレ等、日常生活に不可欠な施設のユニバーサル化についても併せて要望してまいります。
  4. 特別支援学校等との連携を強化し、安定的な人員確保に努めます。
  5. スコア表の加点内容に沿った支援方向の取組、サービス利用料の向上を図るとともに、就労移行支援体制加算の獲得(2名以上目標)に努めます。

3 年間を通じた作業の安定と単位時間当たり収益性の向上

  • 桃の選果・パック詰め作業においては、将来的にはギフト関連作業等への従事を目標に掲げ、果実の扱いや出来高の量と質の両面での向上を追求します。
  • 「晴苺」パック作業については量的に変動が大きく、事業所として対応に苦慮しているものの、県が今後もブランド化戦略に取り組むこと、イチゴの生産に対する各種の支援施策を措置していること等から、中・長期的な視点において、恒常的で収益性の高い事業として、その確立を目指します。
  • 例年実施している作業についても、要した人員・時間から必要とする望ましい対価を積算するとともに綿密な単価交渉を行います。
  • また、利用者に対しては複数作業の習熟を進めることで、多様な作業に対するフレキシビリティの醸成を進めてまいります。
  • 単位時間当たりの生産性を常に注視しながら利用者に対してきめ細かな支援・指導を行うことを通じてスキルアップを促すことで一般就労に向けた誘導を行います。
  • 農福サポートセンターと連携し、新たな収益源となる農作業に関する情報把握に努め、積極的にマッチングに参加するとともに、場合に応じて農業者に対する作業改善に向けた提案等を実施し、賃金の確保と利用者の安全に努めてまいります。
  • 作業閑散期における代替作業について、より収益性の高い作業への転換を図ってまいります。

4 地方公共団体が行う優先調達への積極的参加

  • 令和5年度に岡山市市場事業部が公募した入札においてWeb制作事業を受注できた要因のひとつに、弊社が福祉事業所として取組可能な業務にWeb制作を届出していたことがあげられます。県・市の行政課題や政策目標を把握し、事業の受け皿として参加申込・受注ができるよう情報の収集に努めます。
  • 今回受託した岡山市中央卸売市場のWebサイト制作には、市場で営業する事業者全てを個々に紹介するサイトが含まれており、今後の保守・管理作業を行う中で事業者への取材・撮影等の機会を通じ、市場関係の業務について、参入の窓口を探ってまいります。
  • また、Web制作等IT関連事業については、一定の資質が備わっていれば比較的高単価な賃金が確保できること、また在宅勤務も可能であることから、将来的に事業の一部門として導入することを検討するとともに、就労希望者への面接においても質問事項にIT関連業務の経験や興味等について加味してまいります。

5 つむぐ株式会社との連携強化

  • 事業所KAERUの強みは、「つむぐ㈱」と一体的に事業を行うこと」にあり、同社の課題(事業体制・事業承継等)に対してもコミットしていける仕組みづくりが必要です。
  • また、つむぐ㈱が、「農福コンソーシアム岡山(令和6年2月13日設立)」で事務局を務めることからコンソーシアムでの活動を通じ、各種団体との連携を強化することで、シナジー効果による生産性向上、事業所のレベルアップを図ります。
  • また、「農福連携」での地域農業発展を目指し、岡山農福出荷組合(仮称)の設立が計画され、県下農福関連事業全体に対し果たすべき役割も大きくなっていることから、関連事業に積極的に参加するとともに、ノウフクJAS取得の検討を進めます。

6 事業年度の変更

 弊社の業務について、地方公共団体等から委託される事業が増加する傾向にあります。現在、委託する側の会計年度と弊社の事業年度が異なることから、財務諸表上「活動」と「成果」が一致しない場合があり、この点において、経営指針として問題があるとの認識から、弊社の事業年度を地方公共団体の会計年度に合わせるよう変更を行います。

7 令和6年度の主要作業

(1)つむぐ㈱から次の作業を受託します。
  • アスパラガス選果作業
  • 加工用桃荷造出荷作業
  • 桃パック詰め作業
  • 加工品シールはり、ラベルカット作業
  • 実山椒乾燥調整作業
  • 生姜生産、出荷作業
  • クワイ生産、出荷作業
  • 加工用タケノコの下処理作業
  • その他農業生産作業
(2)その他農業団体、市場事業者等からの作業受託
  • ぶどうの皮むき作業
  • 晴苺パック詰め作業
  • 柑橘類の選果、パック詰め作業
  • 加工用タマネギの下処理作業
  • その他農業生産作業
(3)農業生産事業
  • 岡山県農地中間管理機構を通じ、つむぐ㈱が利用券を設定した農地等における農作業受託等の実施
  • その他農業生産作業
(4)IT関連事業
  • 新たなクライアントからの受注拡大に向けたPR活動の実施
  • これまで制作を行ってきたWebサイトについて、適正な保守管理と改善
  • 弊社ウェブサイトの内容充実