令和7年度 事業計画(案)
計画期間 令和7年4月1日から令和8年3月31日
1 現状認識
厚生労働省による令和6年度障害福祉サービス報酬が改定され、生産活動収支が利用者に対して支払う賃金を下回るA型事業所においてB型への転換若しくは廃止を進める動きが見られます。
弊社では昨年度に引き続き今年度決算においても受託事業収益が利用者賃金を上回ることができたものの、作業内容によっては時間当たり最低賃金を下回る場合もあり、また利用者が作業に影響を及ぼす不安定な精神状態に陥る局面にあって、目標とする生産性が確保できないことも生じています。
また、農産物を扱うという事業の特質により、必然的に季節の変化による収益のゆらぎが発生することも、経営上のリスクと言えます。
弊社が継続的・安定的に企業として成長を続けるためには、何よりも他の事業者が有していない「強み」をさらに強化すること、そして新たな「強み」を獲得していくことが重要であると考えます。
以上を踏まえ、令和7年度における計画を策定いたしました。
2 職員勤務体制等の充実・強化と利用者の安定雇用による持続的な経営の確立
- 利用者を安定的・継続的に雇用するためには、利用者に対する指導・支援体制の強化を図ることが重要です。そのためには職員自身のスキルアップはもとより、資質を備えた人材の確保が必要であり、このため、ハローワークにおける求人のみならず様々なネットワークを通じ、弊社業務にとって必要な人材の発掘・獲得に努めます。
- 繁忙期等においてパート職員を確保することで利用者に対する指導・支援業務のバックアップ体制づくりを図るとともに、従事経験を通じた資質向上を促し、職員としての雇用の可能性を広げます。
- 作業空間における照明や温湿度等の執務環境条件は、職員・利用者の双方にとって勤務意欲に、また農産物の品質保持や仕上げ品品質の確保、選別作業の正確性等、会社としての評価につながることから、作業場管理者等との交渉により改善に努めます。これまで懸案であったトイレの改修については本年6月に完成する予定となりました。今後とも施設のユニバーサル化についても併せて検討、要望してまいります。
- 特別支援学校等との連携を強化し、安定的な人員確保に努めます。
- スコア表の加点内容に沿った支援方向の取組、サービス利用料の向上を図るとともに、就労移行支援体制加算の獲得(2名以上目標)に努めます。
3 年間を通じた作業の安定と単位時間当たり収益性の向上
- 昨年末より岡山中央卸売市場関連事業者からの農産物の梱包業務の受注が業務の主体となりつつあります。農産物の流通業界は就業者の高齢化に伴う慢性的な人手不足が恒常化しつつあり、今後も弊社事業への内部化を進めることで経営の安定につながるものと考えますが、一方、発注内容の伝達遅延や資材準備の遅れなどから、作業当日のシフトや作業ラインの決定に支障が出がちであるとともに、原料の輸送や納品に係る職員の負担が大きいことが課題となっています。
市場におけるICT化の推進が喧伝されているものの、対応が遅れているのが現状であり、早急な課題の解決には至っていません。このため、こうした事業者が有する構造的な問題についてその内容の把握に努め、双方にとってより生産性が高まる形での提言やロジスティクスに関する見直し等を行う必要があると考えます。
また、岡山中央卸売市場では、市場施設の現状や将来的な課題、市場を取り巻く環境の変化を踏まえた市場の将来像を描く「岡山市場未来会議」が立ち上げられたところであり、市場事業者との取引を継続するにあたり当会議で諮問される長・中期的な市場の変化の方向性についても念頭に入れておく必要があります。 - ファーマーズ・マーケットにおいて昨年実施した農作業受託については、桃の管理に関して一定の評価をいただき、今年も作業を受託しています。桃は岡山を代表するブランド農産物ですが、例に違わず担い手の高齢化等により生産規模が縮小する傾向にあります。このため、ファーマーズ・マーケットで実施している桃管理作業を通じ、桃生産者が求める代替的な作業技術が確保できるよう、一層熟度を高めます。
- 「晴苺」パック作業については量的、質的にも変動が大きく、また納期の制約等から対応に苦慮しているものの、県が今後もブランド化戦略に取り組むこと、イチゴの生産に対する各種の支援施策を措置していることを踏まえ、パックセンターとして安定的な作業が確立できるよう、関係団体等との調整を図り、恒常的で収益性の高い事業としての実現を目指します。
- 例年実施している作業についても、要した人員・時間から必要とする望ましい対価を積算するとともに綿密な単価交渉を行うことで作業に適した料金の設定を行います。
- 利用者に対しては複数作業の習熟を進めることで多様な作業に対するフレキシビリティを養います。また、常に作業の内容及び効率に対する意識の醸成を図ることにより、一般就労に向けた適性が身に付くよう、きめ細かに指導・支援を行います。
- 農福サポートセンターと連携し、新たな収益源となる農作業に関する情報把握に努め、積極的にマッチングに参加するとともに、場合に応じて農業者に対する作業改善に向けた提案等を実施し、賃金の確保と利用者の安全に努めてまいります。
- 作業閑散期における代替作業について、より収益性の高い作業への転換について模索・代替を進めていきます。
4 地方公共団体が行う優先調達への積極的参加
- 県・市の行政課題や政策目標を注視するとともに、公共部門からの事業調達に積極的に努めることで、安定的・継続的な業務の確立を目指します。
- 現在、岡山市中央卸売市場のWebサイトの管理運営を受託していますが、サイトには市場関係事業者について個々に紹介するコンテンツが含まれていることからこうした事業者への取材・撮影等の接触を通じ、市場関係の業務について参入の窓口を探ってまいります。
- また、Web制作等IT関連事業については、一定の資質が備わっていれば比較的高単価な賃金が確保できること、また在宅勤務も可能であることから、将来的に事業の一部門として導入することを検討するとともに、就労希望者への面接においても質問事項にIT関連業務の経験や興味等について加味してまいります。
5 つむぐ株式会社との連携強化
- 事業所KAERUの強みは、「つむぐ㈱」と一体的に事業を行うこと」にあり、同社の課題(事業体制・経営承継等)に対してもコミットしていける仕組みづくりが必要です。
- また、つむぐ㈱が、「農福コンソーシアム岡山(令和6年2月13日設立)」の事務局を務めることからコンソーシアムでの活動を通じ、各種団体との連携を強化することで、シナジー効果による生産性向上と事業所のレベルアップを図ります。加えてコンソーシアムのHP制作と管理運営を受託します。
- また、本社でのパック詰め作業等の際発生する余剰農産物の活用とその商品化についても試作研究を進めるとともに、ノウフクJASの取得や関連商品のマーケティングのあり方等についても検討を進めます。
6 令和7年度の主要作業
(1)つむぐ㈱から次の作業を受託します。
- アスパラガス選果作業
- 加工用桃荷造出荷作業
- 桃パック詰め作業
- 実山椒乾燥調整作業
- クワイ生産、出荷作業
- その他農業生産作業
(2)その他農業団体、市場事業者等からの作業受託
- ぶどうの皮むき作業
- 晴苺パック詰め作業
- 柑橘類の選果、パック詰め作業
- その他農業生産作業
(3)農業生産事業
- 岡山県農地中間管理機構を通じ、つむぐ㈱が利用券を設定した農地等における農作業受託等の実施
- その他農業生産作業
(4)IT関連事業
- 新たなクライアントからの受注拡大に向けたPR活動の実施
- これまで制作を行ってきたWebサイトについて、適正な保守管理と改善
- 弊社ウェブサイトの内容充実